あなた(生産者・流通・消費者)の思いをカタチ(産品)にして大分県産農林水産物のブランド化に取り組んでいます。
冬の朝7時。蒲江の海風は、キーンと冷たい。まだ太陽も昇りきらず、水平線をぼんやり赤く染めているだけ。そんななか、軽トラックが次々に農協に集まってきます。輪ギクの生産者たちです。各々収穫し、規格別にして箱に詰めたものを持ち寄り、数台のトラックに積んでいくのです。
「今日は多いぃなぁ!」
量が多いほど作業が大変になる。だけどそれは、収穫が多かったことの確かな手ごたえ。生産者たちは荷台に手際よく、若い者も率先して箱を積み上げていくのですが、そのなかでもひと際目を引く人がいました。三原昭司さんです。
三原さんは、2006年に栽培を始めた新規参入者です。にもかかわらず、初年度から品質の良いキクを育て、期待されている若手のひとり。彼は30歳になるのを控え、県外から地元大分に戻ってきました。
「ず〜っと、根なし草だったんですよ、僕。だから根を張ろうと思って、ここに帰ってきました」
根を下ろそうと思った故郷の蒲江では、同級生が2人、キクを育てていました。それに従兄弟がイチゴ農家でもあったことから、自分も何かつくってみようと思い始めたそう。里帰りしたときなどに、その友人や従兄弟の話を聞き、どちらをつくってみようか検討したのだといいます。そして結果的に、キクを選びました。
いつも絶えることない、純白の輝き
花を咲かせる“あたたかさ”がある
準備中です
輪ギクは主に仏事に使われるものなので、最盛期はお盆前後。
キクは定植して50日ほど過ぎたら夜間に電気をあてるのですが、電気を切ると季節を勘違いして花を咲かせようとします。4か月くらいで90cmの背丈になり、そこで収穫。それまでには地道な作業が続きます。害虫にやられた花があればすぐに取り除いたり、一本に理想的な花をつけさせるために、余分な芽をひとつひとつ手で摘んだり……。
けれどそのすべてが三原さんにとっては、「根を張る」ために必要な糧となる。これからは品質の良さはもちろん、生産量を増やしていくためにハウスを増やす予定もある。そこでまた、たくさんのキクが根付いていくのでしょう。
まだ夜が明けきらないうちに出荷作業が行われる
丸市尾の生産者のみなさん
三原さんのハウス。燃料の高騰は悩みのタネ
揃って成長している輪ギク
蕾がかたく閉じているうちに収穫。咲けば純白の花
最盛期の収穫は休む間もない。