
過去、ニュースや新聞で、台風の壊滅的な被害を受けた梨園の様子が幾度も報じられてきました。収穫を間近に控えながら、強風によって地面に振り落とされた、痛々しい果実。それをなすすべもなく見やる生産者の姿は、多くの人の脳裏に焼きついていることでしょう。恐いのは台風だけではありません。雹が果実を傷つけることや、霜が花をしおれさせてしまうことも……。ただし、生産者たちはこうした天災にも負けまいと、工夫を凝らしてきたのです。
小埜照明さんの梨園を訪ねました。なだらかな傾斜が続く山肌に、どこまでも続く梨の木。木とはいえ、枝と鋼線を組み合わせて平面になっているため棚のよう。それを支えるパイプに、台風対策の知恵がありました。
梨の果実と枝を結ぶ軸はとても弱く、強い風が吹くと棚が激しく上下する衝撃によって果実が落ちてしまいます。そこで鋼線でできた棚に太いパイプを通して補強することにより、被害を軽減するのです。台風襲来のときは、更に普段はたたまれている支柱用のパイプをおろし、下から突き上げることにより果実の落下を防いでいます。この方法は今、台風被害に悩まされている県下各地の梨生産者に広がっています。
梨の木はどっしりと地面に根を張っています。その根は、実をつけるまでにたっぷりと養分を吸います。シーズンが終わり、葉が全部落ちて、枝を剪定したら木のまわりに堆肥などをたっぷりまきます。一週間に一度程度水を与えられ、これらの養分を吸って、じっくり時間をかけて育つのです。
昔ながらの「豊水」や「新高」も人気の品種ですが、近頃は新しい品種も次々と生み出され、注目を集めています。大分県でも濃厚な味わいの新品種「豊里(ほうり)」が開発され、普及が進んでいます。小埜さんの梨園でも新しい品種の若木がすくすくと育っているところでした。![]() |
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| なだらかな斜面。枝がパイプに張りめぐらされ、棚のようになる。これは災害対策と陽当たりを考慮したもの | 普段はたたまれている一本のパイプを下ろすと、かなりの揺れも軽減される |
ヘタは左右に動かすと簡単に枝から取れる。収穫するスピードが早い! |
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| 新品種の栽培にも取り組む。若木を育てているところ |
新興は500gほどの大きな果実になる。甘味と酸味がほどよい |
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